HP ZBook Power 15.6inch G9 Mobile Workstation レビュー


HP ZBook Power 15.6inch G9 Mobile Workstationは、CADやCG、設計、デザインなど、プロフェッショナルで高度な使い方ができるノートPC型のワークステーションです。

インテル製のハイスペックCPUと、高性能なグラフィックスであるNVIDIA RTX A2000 / A1000などが搭載されていて、負荷のかかる処理も高速に実行することが可能です。

実際にHP ZBook Power 15.6inch G9 Mobile Workstationを使ってみましたので、レビューをご紹介します。



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ハイスペックなCPUと高性能なグラフィックスNVIDIA  RTX A1000/A2000を搭載


HP ZBook Power 15.6 inch G9 Mobile WorkstationのCPUとメモリ、グラフィックスの仕様は以下のようになっています。

  構成
 CPU Core i7-12700H / Core i7-12800H 
 メモリ 16GB / 32GB
 グラフィックス インテルIris Xe
および
NVIDIA RTX A2000
NVIDIA RTX A1000
NVIDIA T600


最新のインテル製HシリーズのハイスペックCPUを搭載し、メモリは最大で32GB、そしてグラフィックスはNVIDIA RTX A2000 / A1000を搭載できるようになっています。



CPUの性能


ハイスペックなCPUであるインテル製HシリーズのCore i7-12700HまたはCore i7-12800Hから選択することができます。




一般的なノートPCに搭載されるCPUよりも1.5倍~2倍以上も性能が高く、非常に高速な処理が可能です。

大きな負荷のかかる作業も高速に処理することが可能です。



グラフィックスの性能


CPUに内蔵のインテルIris Xeとともに、高性能なグラフィックスであるNVIDIA RTX A2000 / A1000、NVIDIA T600から選択することができます。

NVIDIAのグラフィックスのGeForce RTXシリーズとは違うのでご注意ください。Quadroという名前を聞いたことがある人もいらっしゃると思いますが、NVIDIA RTXシリーズはこのQuadroと呼ばれていたグラフィックスの後継だと思ってもらえれば大丈夫です。

NVIDIA RTX A2000 / A1000は、GeForce GTX / RTXシリーズと同じくらいDirectXの性能が高いのですが、特徴的なのがGeForce GTX / RTXシリーズよりもOpenGLの性能が高くなっている点です。

今回、実際に、NVIDIA RTX A1000を搭載したモデルを使用しました。DirectXの性能はGeForce GTX 1660Ti Max-Qと同じくらい高く、そしてOpenGLの性能はGeForce RTX 3060よりも40%以上も高かったです。非常に高性能なグラフィックスです。



メモリ容量


メモリは最小で16GB、最大で32GBまで搭載することが可能です。





CADや製図、設計、2Dや3Dグラフィックスなど、プロフェッショナルな使い方ができる


CPUとグラフィックスの性能が非常に高く、CADや製図・設計、2Dや3Dなどのグラフィックス作業を非常に快適に動作させることが可能です。高度な専門性を必要とするソフトウェアをしっかり使うことができます。

実際、AutoCADやFusion 360、SOLIDWORKS、3ds Maxなどのソフトウェアにおいて、NVIDIA RTX A2000/A1000、T600が認証済みのグラフィックスとなっていて、安心して使うことができます。





耐久性が高く、高品質なデザイン


筐体にはアルミニウムが採用されています。本体カラーは素材の質感が活かされたシルバーとなっていて、高品質な雰囲気があります。





ワークステーションと聞くと、なんだか分厚くてごついイメージを持ってしまいがちですが、見た目は一般的なノートパソコンと変わりなく、リラックスした気持ちで使うことができます。




ワークステーションという高性能な製品ということもあり、本体はMIL-STD 810Hというアメリカの国防総省が定めた基準をクリアする高い強度を持っています。専門的で大事なデータがたくさん保存されていくと思いますが、振動や衝撃からしっかり守られるので、安心して使うことができるのではないかと思います。






サイズと重さの確認


HP ZBook Power 15.6inch G9は製品名が示す通り、15.6インチの大きさがあります。下の写真を見るとわかる通り、A4ノートよりは大きくなります。




また、重さを実際に量ってみると、約1.98kgとなっていました。




これくらいの大きさと重さであれば、部屋から部屋へ手で持って移動することは簡単にできます。どこかに固定して使い続けなければならないということはなく、場所を選ばずに高度な作業ができるのは便利です。

ただ、カバンに入れて長時間持ち歩くというのは疲れるかもしれません。持ち歩く場合には、短い時間であったり、車などを使うということであれば大丈夫でしょう。





ディスプレイ


ディスプレイにはIPS液晶が搭載されていて、色の表示や見え方など、特に気になる点はありませんでした。テキスト情報だけでなく、画像や動画などの表示も問題ないでしょう。


映り方


自然な色合いで綺麗に表示されるディスプレイです。非光沢パネルなので、蛍光灯や作業している自分自身の姿が映りこむこともありません。




異なる角度から見ても、見え方が変わったり色抜けなどすることもなく、綺麗に表示されます。見やすいディスプレイです。


上や横からなど、角度を変えてみても綺麗に表示される。



色の表示


sRGBカバー率は99.2%となっていて、色域が広いです。正確な色表示が可能です。

インターネットやメール、Officeソフトを使った書類作成、動画鑑賞などの一般的な作業だけでなく、画像や動画編集など、色合いが重要になるクリエイティブな作業にも使うことができます。



sRGBカバー率 99.2%
Adobe RGBカバー率  75.2%



サイズと解像度


ディスプレイのサイズは15.6インチです。

解像度は1920×1080 (フルHD)となります。








キーボード


日本語配列のスタンダードなキーボードです。テンキーも搭載されています。




キーの大きさや間隔、並び方等、特に気になる点はありません。問題なく使うことができるでしょう。




Enterキー周りもスッキリしていて使いやすいです。テンキーは標準的な4列構成なので、使いやすいと思います。




キー同士の間隔は18.7mm×18.7mm、キーを押したときの深さは1.5~1.7mmとなっています。打鍵感も良いです。




タッチパッドの縁が金属加工になっていて、キラッと光るのが良い感じです。




NFC通信機能が搭載されているので、ICカードの管理に使うことも可能です。








高度なセキュリティ機能


大事なデータを守るためのセキュリティ機能がしっかり搭載されています。

指紋センサー




キーボードのテンキーの下に指紋センサーが搭載されています。

パスワードではなく指紋でログインすることが可能になります。他人の指では認証が通らなくなるので、セキュリティをより強化することができます。



カメラのプライバシーシャッター


カメラレンズのすぐ上側にあるレバーを左右に動かすことで、カメラレンズにカバーをかけることができます。

ZoomやTeamsなどのビデオ通話ソフトを使っていて、気が付かない間にカメラに映ってしまい恥ずかしい思いをした、ということを防ぐことができます。カメラを使わないときはレンズにカバーをかけておいて、使うときだけ開けるというようにすると、安心して使うことができます。





顔認証に対応


IRカメラとなっていて、カメラは顔認証にも対応しています。指紋でも顔でも好きな方で認証できる便利さがあります。



あらゆる階層で防御するHP Wolf Security




最近のマルウェアやウイルスの中には、PC内部の深い領域(ファームウェア)にまで感染するという非常に厄介なものが登場しています。

HP Wolf Securityはそのような悪質なものをしっかり封じ込めて駆除するために、OSそのものだけでなく、OSの上や下の階層においても常に監視し保護してくれます。





周辺機器との接続に必要なインターフェース


周辺機器との接続に必要なインターフェースは、以下のようになっています。

SDカードスロットはないのですが、HDMIポートや複数のUSBポート、有線LANポートが搭載されていて、しっかり使うことができます。なお、本レビューで使用したモデルにはスマートカードリーダーが搭載されていますが、現在販売されているモデルには搭載されていないようですのでご注意ください。










ディスプレイ出力はHDMIまたはUSB Type-Cで


HDMIポートを標準で搭載しているので、HDMIケーブルを接続すれば、モニターやプロジェクターを使ってプレゼンを行ったり、マルチモニターで作業することが簡単にできます。


HDMIでモニターと接続。PCと同じ画面を出力したところ。



HDMIでモニターと接続。PCの画面を拡張し、PCとモニターの2画面で作業(マルチモニター)。


また、USB Type-Cポートもディスプレイ出力が可能です。USB Type-Cポートを搭載したモニターに接続するときなどに利用してみてください。


USB Type-Cでモニターと接続したところ。



USBポート


USBポートは標準サイズのUSB Type-Aポートが3つ、Type-Cポートが1つとなっています。USBメモリや外付けハードディスクなど、複数のUSB機器を同時に接続するのも問題ありません。




インターネットにはWi-FiまたはLANケーブルをつないで接続できる


インターネットにはWi-Fiで接続できるだけでなく、LANケーブルを挿しても接続することができます。




Wi-Fiの電波が不安定な時でも、LANケーブルが使えるとより高速に、そして安定してネット接続ができるので安心です。



SDカードスロット


SDカードスロットは搭載されていません。デジカメやビデオカメラなどで撮影した画像や動画など、SDカードのデータをPCで扱いたいときは、外付けのSDカードリーダーをご用意ください。





カメラとマイク、スピーカー


カメラ、マイク、スピーカーが搭載されていて、ZoomやTeams、Skypeといったビデオ通話ソフトもしっかり使うことが可能です。


カメラ


カメラはディスプレイ上部にあります。上述したように、顔認証に対応しているのと、カメラレンズにカバーをかけることができるようになっています。


カメラ。



マイクとスピーカー


スピーカーはキーボード上部に搭載されています。キーボードの端から端まである大きなスピーカーです。


キーボード上部に搭載されているスピーカー。


ただ、標準の音質はややライトな印象を受けました。音質を調整できるソフトが搭載されていますので、自分好みのサウンドにすると良いのではないかと思います。





マイクならびにスピーカーには、ノイズを減衰させる機能が搭載されています。周囲で雑音が入る場合にはこの機能を使うと良いでしょう。







動作音の確認


パソコンの動作音の大きさを計測しました。

ネットや動画鑑賞など、パソコンに負荷があまりかからない作業をしているときは静かに使うことができます。

CPUのみに大きな負荷がかかる作業をすると動作音は大きくなりますが、一般的なノートPCと同等~若干大きい程度の動作音でした。

CPUとグラフィックスに同時に負荷がかかると、一般的なノートPCに負荷をかけたときの動作音と同じくらいの大きさになりました。ゲーミングノートPCやクリエイティブ向けノートPCよりも動作音を抑えて使うことができるのではないかと思います。


測定項目 測定値 
PCの電源OFF時の室内の音量
(できるだけ無音の状態)
28~29db
アイドル状態
(PCを起動し何もしていないとき)
28~29db
インターネットをしているとき
(タブを10個開いた状態)
28~29db
YouTube動画閲覧時 28~29db
CPU 100%使用時
(CINEBENCH R20実行時)
40~42db
Blender実行時
CPU:10~20%
GPU:90~100%
36~40db 






HP ZBook Power 15.6inch G9の仕様と性能


HP ZBook Power 15.6inch G9のスペックをご紹介します。

 OS Windows 10 Pro
 CPU Core i7-12700H / Core i7-12800H
メモリ 16GB (16GB ×1)
32GB (32GB ×1)
ストレージ
SSD 
SSD 512GB / 1TB
 グラフィックス インテルIris Xe 
および
NVIDIA RTX A2000
NVIDIA RTX A1000
NVIDIA T600
 光学ドライブ  なし 
有線LAN
無線LAN
 HDMI
 SDカード  - 
 USB USB Type-A × 3
USB Type-C × 1
 サイズ 15.6インチ
 液晶 フルHD(1920×1080)
非光沢
IPS液晶
 タッチパネル+
タブレット変形
-
 Office -
 重量 約2.0kg 
 保証期間 1年(有償:最大5年)   
  

今回のレビューで使用したHP ZBook Power 15.6inch G9の仕様は以下の通りです。

OS: Windows 10 Pro
CPU: Core i7-12700H
メモリ:16GB
ストレージ:SSD 512GB


CPUはハイスペックな性能を発揮するCore i7-12700HまたはCore i7-12800Hから選択することができます。性能的にはCore i7-12700H < Core i7-12800Hとなりますが、両者ともに最新のCPUでどちらも非常に高速に動作します。

メモリは16GBまたは32GBとなっています。

グラフィックスはNVIDIA RTX A2000、A1000、NVIDIA T600の3種類が用意されています。性能はNVIDIA T600 < RTX A1000 < RTX A2000となります。

今回のレビューでは、NVIDIA RTX A1000を搭載したモデルを使用しました。ゲーミングノートPCやクリエイティブ向けノートPCによく搭載されるNVIDIA GeForceシリーズと比較すると、DirectXの性能はGeForce GTX 1660Ti Max-Qと同じくらい高く、そしてOpenGLの性能はGeForce RTX 3060よりも40%以上も高かったです。

ちなみに、NVIDIA T600はエントリー向けのグラフィックスになります。NVIDIA RTX A1000よりも性能は抑えめになりますので、しっかり使いたい場合はNVIDIA RTX A1000またはA2000を選択するのが良いでしょう。




CPUのベンチマーク


CPUの性能を計測しました。6198pts 、15498pts(それぞれCINEBENCH R20、CINEBENCH R23)という非常に高いスコアが得られました。とても高速な動作が可能です。負荷のかかる処理も高速に処理することができます。

また、シングルコアのスコアも非常に高いです。グラフィックス系のソフトを使ったり、プログラムを実行したりなどの作業にもしっかり使うことができるでしょう。








ストレージのベンチマーク


SSDのアクセス速度になります。第4世代のPCIe SSDが搭載されているので、読み書きともに非常に高速に動作します。快適に使えるでしょう。







グラフィックスのベンチマーク


グラフィックスの性能について、各種ベンチマークソフトを使って計測を行いました。

OpenGL


CINEBNECH R15を実行し、OpenGLの性能を計測しました。314.55fpsとなりとても高いスコアでした。

CPUにCore i7-12700H、グラフィックスにNVIDIA GeForce RTX 3060を搭載したゲーミングノートPCでOpenGLの性能を計測すると約220ptsくらいになるので、GeForce RTX 3060よりも40%以上も高い性能を発揮することができます。





DirectX


Time SpyやFireStrikeのスコアを比較すると、NVIDIA GeForce GTX 1660Ti Max-Qと同じくらいの性能になっています。しっかり使うことができる性能です。






各ベンチマークテストの評価対象とスコアを表にすると以下のようになります。


ベンチマーク 評価対象 スコア
Fire Strike DirectX 11 4832
Time Spy DirectX 12 10849



Blender


3DCGや2Dアニメーションの製作によく使われるBlenderのベンチマークを、NVIDIA RTX A1000を用いて実行しました。結果は以下の通りです。CPUのみで実行した時よりも5倍以上、NVIDIA T550よりも4倍以上高速です。

[NVIDIA RTX A1000を用いて実行]









外観の確認


HP ZBook Power 15.6inch G9の外観を確認してみましょう。

天板です。アルミニウム素材の質感がとても良いです。色合いや手触り等、上質な感じが伝わってきます。




本体の高さは約22.8mmとなっています。1.0kg程度の軽量なモバイルノートPCと比べると厚みはあるのですが、一般的な15.6インチノートPCと同じくらいの厚みに抑えられています。




ワークステーションといってもごつい感じは全くなく、一般的なノートPCのようなデザインでスッキリと使うことができます。
























底面です。




ACアダプターとケーブルです。ハイスペックなCPUとグラフィックスを搭載していますが、ACアダプターはそれほど大きくなく、スッキリと使うことができると思います。





本体左側面です。




右側面です。




背面です。




手前側です。







まとめ


HP ZBook Power 15.6inch G9 Mobile Workstationを今回実際に使ってみて、プロフェッショナルな用途にしっかり使えるPCだと思いました。

ハイスペックなCPUとグラフィックスを搭載していて、AutoCADやSOLIDWORKSなどの推奨環境にも適合しています。OpenGLやDirectXの高い性能を必要とする作業が快適に行えるでしょう。

また、セキュリティ機能も充実しているので、大事なデータが保存されてもしっかり守ることができそうです。


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この記事を書いた人

  石川
ITエンジニア。2014年から2024年現在まで10年間、約450台以上のノートパソコンのレビューを実施。プログラマー兼SEとして、システムやアプリの開発に携わっています。保持資格:応用情報技術者、基本情報技術者、英検準1級等 
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