AIが使えてお手頃価格Ideapad 5x 2in1 Gen 9レビュー
更新日:2024年12月28日
Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9。機材貸出:レノボジャパン
Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9は、AIを高速に実行することができるSnapdragon X PlusをCPUに搭載したノートパソコンです。
性能が高く高速な処理が可能で、タブレットに変形してデジタルペンでの書き込みや指での操作ができるなど多機能な製品です。AIノートPCとしては手頃な価格が魅力です。
WordやExcel、インターネット、メール、ビデオ通話などは全く問題なく動作しますが、これまでのCPUとは違う新しいCPUなので、これら以外のソフトで使いたいものがある場合には、事前に動作するかどうか確認しておく必要があります。
今回、Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9を実際に使用してみましたので、レビューをご紹介します。
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AIの性能をしっかり発揮できる
これまでノートパソコンにはインテルやAMDのCPUが搭載されていましたが、このIdeapad 5x 2in1 Gen 9は、Snapdragon X Plusという新しいCPUが搭載されています。
このCPUが優れているのは、インテルやAMDのCPUよりもAIの処理を行うのが高速にできる点です。しかも、AIノートPCとしては手頃な価格設定になっています。
現在のところ、生成AIを使おうと思うと、高性能なグラフィックスを搭載したパソコンを使うか、クラウド上の生成AIサービスを利用することになるのですが、このCPUを開発した会社の発表によると、このCPUが搭載されていると、手元のパソコン上で音楽を生成したり、Visual Studio Codeというプログラム開発環境上でコードを生成したりすることができたりするとのことです。
もし、自分のパソコン上でAIを試してみたいという場合には、良い選択肢になるでしょう。
CPUが違うので、使いたいソフトが動くかどうか事前に確認しよう
ただ、CPUが全く違うものなので、既存のソフトが動くかどうかは十分に確認したほうが良いです。
多くのソフトはパソコン側で自動的に変換して動作できるような仕組み(エミュレーター)が備わっているので、問題なく動作するソフトが多いと思われますが、自分が使いたいソフトが本当に動くかどうかを予め確認しておくと安心です。
それがこのパソコンを購入するうえで、一番注意したいことになります。
いくつか筆者も確認してみましたが、以下のような作業は問題なくできます。
WordやExcel、PowePointといったOfficeソフトはMicrosoftが対応済みなので、問題なく使用することができます。
また、インターネットやメール、動画鑑賞といったことや、プレゼンやマルチモニターなどの作業も問題ありません。ZoomやTeamsなどのビデオ通話ソフトも対応済みなので大丈夫です。
AdobeソフトのPhotoshopやAcrobat、Acrobat Readerなどは対応済みのようですが、Illustratorは現在対応を急いでいるようです。
プログラミングについては難しいところで、動くものと動かないものが出てくると思われます。環境の構築や細かな動作が異なってくると思うので、初心者や対応できる自信がない場合はやめておいた方が無難です。
タブレットとしても使えてペンでの作業が可能
Ideapad 5x 2in1 Gen 9は、ディスプレイを回転させることができる便利なパソコンです。
下のような形で使うこともできます。ディスプレイとの距離が近くなって、動画を見たり電子書籍を読んだりといったことがやりやすくなります。画面はタッチパネルなので、スマホのように画面に触って操作することが可能です。
さらに回転させると、下の写真のようにタブレットの形状で使うことができます。
タブレットのような形になりますが、下の写真のようにキーボード部分が後ろ側に回りますので、タブレットとしては厚みがあります。本体は約1.48kgあるので、手で持って使うのは疲れます。机やテーブルの上に置いて使うのが良いでしょう。
ペンが同梱されているので、パソコンを購入してすぐに使うことができます。
ペン先はゴムのような質感で、実際に画面に書き込んでみると少し引っ掛かりを感じましたが、下の写真のようにまずまず書くことができました。
持ち運びしやすいサイズと軽さ
サイズは14インチで、本体の大きさはA4よりも少し大きいくらいです。比較的コンパクトな作りです。
重さは約1.48kgとなっていました。1kgを切るような超軽量ノートPCと比べると重いのですが、これくらいであれば持ち運ぶことができます。
実際にリュックサックに入れてみました。A4サイズでスリムな作りなので、カバンにもスッと入ります。
持ち運び先で使用するときにはバッテリーで作業することも多いですが、バッテリー駆動時間は動画再生時で約14.1 時間、アイドル時で約16.6 時間(いずれもJEITA3.0)となっています。
作業内容によってバッテリー時間は変わってきますが、これくらいあれば外で半日作業するのも大丈夫です。
もし、バッテリーが切れそうになったら、スマホの充電に使っているモバイルバッテリーやコンパクトな充電器を使うこともできます。
今回、実際に試したところ、20W以上の出力が可能なPower Delivery対応のモバイルバッテリーや充電器を使うことで、パソコンの充電を行うことができました。
PC 電源ON | PC 電源OFF | |
---|---|---|
モバイルバッテリー (20W) |
〇※ | 〇 |
充電器 (45W) |
〇※ | 〇 |
充電器 (65W) |
〇 | 〇 |
※PCの充電は行えるが、「低速の電源ケーブル」という表示がされる。
インターネットとOfficeソフト
インターネット
インターネットにはWi-Fiを用いて接続することができます。Wi-Fiの通信規格は最新の通信規格であるWi-Fi 7に対応しています。
Wi-Fi 6E (11ax)やWi-Fi 5 (11ac)も使えるので、インターネットの接続は問題ないでしょう。
Officeソフト
OfficeソフトはMicrosoft Office Home and Businessを選択することが可能です。
Officeソフトが不要な方は特に選択しなくても大丈夫です。
現在のところ、CPUやメモリ容量などの構成が固定されたモデルではOfficeソフトはセットになっていないようです。
Officeソフトが必要な場合は、構成をカスタマイズできるモデルで選択する必要があります。
OLEDディスプレイを搭載し、映りがとても良い
画面はOLEDディスプレイを搭載していて、非常に映りが良いです。特徴としては表示できる色の数が通常のディスプレイよりも多く、色鮮やかな映りになります。
実際、とても綺麗に表示されました。色合いも問題ありません。
正面以外の角度から見ても、綺麗に表示されていました。
解像度は1920×1200 (WUXGA)となっています。
今回実際に色の表示できる範囲(色域)を測定しようと思ったのですが、搭載しているCPUの違いで専用のソフトがうまく実行できませんでした。
公式サイトによると、DCI-P3カバー率が100%となっているようです。
キーボード
キーボードは特に気になる点はありませんでした。Copilotキーも搭載されています。
Snapdragon CPUを搭載するからといって、通常のWindows ノートPCのキーボードと違う点はありません。問題なく使うことができます。
自然な感じで入力でき、打鍵感も良いです。
タッチパッドも問題なく使うことができました。
ポート類やカメラ、スピーカーなど
ポート類~周辺機器との接続に使う
周辺機器との接続に使うポート類はよく使われるものがしっかり搭載されています。USBポート、HDMIポート、micro SDカードスロットがあり、しっかり使えるでしょう。
HDMIポートとUSB Type-Cポートによる画面出力を調べてみました。
PCと全く同じ画面を表示することも、別々の画面を表示することも問題ありません。プレゼンに使用したり、マルチモニター環境で作業することができます。
HDMIとUSB Type-Cポートを使えば、下の写真のようにモニターの数を増やして作業することもできます。
カメラとマイク
カメラとマイクはディスプレイ上部に搭載されています。カメラの画質、マイクの音質ともに問題ありません。
スピーカー
スピーカーはキーボードの左右に搭載されています。ノートパソコンのものとしては大きく、音質も良かったです。動画を見たり、音楽を聴いたりするのも大丈夫そうです。
サウンドシステムはDolby Audioとなっています。
セキュリティ
指紋認証
キーボードの右下に指紋センサーが搭載されています。ワンタッチでログインできます。他人の指では認証が通らなくなるので、セキュリティを高めることができます。
顔認証
顔認証機能は搭載されていません。
プライバシーシャッター
カメラにはプライバシーシャッターが搭載されています。カメラを使わないときはカバーをかけて、絶対に撮影ができないようにできる機能です。
すぐ上側にあるレバーを動かすことで対応することができます。カメラの撮影ができないときは、赤くなるのでパッと見てわかりやすいです。
[カメラの撮影ができるとき]
[カメラの撮影ができないとき]
静音性の確認
パソコンの動作音の大きさを計測しました。
インターネットや動画を見るなど、軽めの作業をしているときはとても静かに使うことができました。
CPUに大きな負荷がかかると動作音が大きくなりますが、他の一般的なノートパソコンと同程度の大きさでした。
特に問題なく使えるでしょう。
測定項目 | 動作音の大きさ |
---|---|
PCの電源OFF時の室内の音量 (できるだけ無音の状態) |
28~29db |
アイドル状態 (PCを起動し何もしていないとき) |
28~29db |
YouTube動画閲覧時 | 28~29db |
インターネットをしているとき (タブを10個開いた状態) |
28~29db |
CPU 100%使用時 (CINEBENCH R23実行時) |
39~40db |
Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9の仕様と性能
Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9の仕様は以下の表のようになっています。
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
CPU | Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
メモリー | 16GB |
ストレージ | SSD 512GB / 1TB |
無線LAN | ○ |
有線LAN | - |
光学ドライブ | - |
SDカードスロット | 〇 (micro SDカードスロット) |
HDMI | 〇 |
USBポート | USB3.2 × 2 USB Type-C (Thunderbolt 4)× 2 |
ディスプレイ | OLED (有機EL)ディスプレイ WUXGA (1920x1200) 光沢 タッチパネル |
サイズ | 14インチ |
重さ | 約1.5kg |
バッテリー持続時間 | 動画再生時:約14.1 時間 アイドル時:約16.6 時間 (いずれもJEITA3.0) |
今回のレビューで使用したモデルは以下の仕様になっています(メーカー貸出機)。
OS:Windows 11 Home
CPU: Snapdragon X Plus X1P-42-100
メモリ: 16GB
ストレージ: SSD 512GB
CPU: Snapdragon X Plus X1P-42-100
メモリ: 16GB
ストレージ: SSD 512GB
OSはWindows 11 Home、またはWindows 11 Proから選択できます。通常はWindows 11 Homeで問題なく使うことができます。
CPUはSnapdragon X Plusとなっています。上述した通り、一般的なノートPCに搭載されるインテルCPUやAMDのCPUとは違うので、動かないソフトが出てくる可能性があります。購入する前に、予め動作するかどうかを調べておいた方が良いでしょう。
Officeソフトを使った作業やインターネット、メール、動画鑑賞、ZoomやTeamsを使ったビデオ通話、プレゼン等の作業であれば、全く問題なく使うことができます。
以下はCPUとストレージ、グラフィックスの性能を専用のソフトウェアを用いて測定したものです。専門的な内容になりますので、読み飛ばしてもらって構いません。
CPUのベンチマーク
まず、CPUの性能をCINEBENCH 2024とR23という2つのソフトを用いて測定しました。スコアはそれぞれ698 pts、8144 ptsとなりました。
CINEBENCH 2024では、Snapdragon X Plusの性能を直接計測することができます。高性能なインテルCPUであるCore Ultra 7 155Hだと590ptsくらいのことが多いので、Snapdragon X Plusはかなり性能が良いことがわかります。
一方で、CINEBENCH R23ではCore Ultra 7 155Hよりもスコアが下がりました。これは、CINEBENCH R23をエミュレーター上で動かしているのが原因と思われます。使用するソフトウェアがArmに対応していれば、一般的なノートパソコンよりも高速に動作すると考えられるのですが、エミュレーター上で動かさないといけない場合は、Snapdragon X Plus本来の性能を発揮しきれないと考えられます。
ただ、それでも十分に高いスコアなので、とても快適に使うことができることに変わりはありません。普通に使う分には、エミュレーター上で動かすからといって、神経質になる必要はありません。
ストレージの読み書きの速度
ストレージの速度を測定しました。非常に高速な動作が可能です。データの読み書きが高速に行えるので、とても快適に使うことができます。
グラフィックスのベンチマーク
グラフィックスの性能はしっかり発揮されています。問題なく使えるでしょう。
ベンチマーク | スコア |
---|---|
Fire Strike (対象:Direct X11) |
3607 |
Night Raid (対象:Direct X12) |
16450 |
外観の確認
それでは、Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9の外観を確認してみましょう。
本体カラーはルナグレーと呼ばれる色が採用されています。Lunar(月)のようなグレーという意味合いだと思いますが、上質なカラーです。
これまでのレノボの製品は、ロゴマークが隅っこに来ることが多かったのですが、この製品は中央に位置しています。
本体はスリムです。
キーボードとディスプレイをつなぐヒンジ部分です。ディスプレイを360度回転させてもグラつくことなく、しっかりとした構造をしています。
ディスプレイの上部にはカメラとマイクが搭載されているのですが、少しだけ出っ張っています。形状として良いアクセントになっているだけでなく、ディスプレイを閉じたときに指が引っ掛けやすくなって、ディスプレイを開きやすいというメリットがあります。
本体底面です。
ACアダプターとケーブルです。
ACアダプターはコンパクトです。
本体左側面です。
本体右側面です。
本体背面部です。
本体の手前部分です。
まとめ
最後に、Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9についてまとめたいと思います。
良いところ
・AIを高速に実行することができる
・CPUの処理性能が高い
・OLEDディスプレイを搭載し、美しい表示が可能
・タブレットとしても使える
・指で操作、ペンでの書き込みができる
・周辺機器との接続に使うポート類が充実
・AIノートPCとしては手頃な価格設定
注意するところ
・CPUが違うので、使いたいソフトが使えるかどうか予め確認しておくのが安心
・顔認証は非搭載
Lenovo Ideapad 5x 2in1 Gen 9はCPUにSnapdragon X Plusを搭載していて、AI処理を他のパソコンよりも速く実行することができます。
最先端のノートパソコンになるわけですが、既存のソフトを使う時にはエミュレーターで動かすことになることも多く、ソフトによっては動作しないパターンもあるので、もし使いたいソフトがあったら事前に確認しておくのが良いでしょう。
それでも、ネットやWord、Excel、動画鑑賞、TeamsやZoomなどの作業であれば問題なく対応できるので、使い方によってはかなり良い作業環境が手に入ります。
詳細はこちら → Ideapad 5x 2in1 Gen 9(直販サイト)
この記事を書いた人
石川 |
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