Copilot+ PCでAI処理が高速化するThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonレビュー

更新日:2025年3月10日


Lenovo ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragon。機材貸出:レノボジャパン


Lenovo ThinkBook 16 Gen 7 SnapdragonはCopilot+ PCとして、AI処理性能に優れたノートパソコンです。

Microsoft OfficeソフトやZoom、Teams、インターネットブラウザ(EdgeやChrome)、Adobe製品など、Snapdragonに最適化されたアプリが高速に動作します。一方で、最適化されていないソフトはエミュレーター上で動作するようになるので注意が必要となります。

今回、Lenovo ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonを実際に操作してみましたので、レビューをご紹介します。


詳細はこちら → ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragon (直販サイト)






Snapdragon版は何ができる?


ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonは、CPUにQualcomm社のSnapdragon X Plus X1P-42-100が搭載されています。これまでのノートパソコンはインテル製やAMD製のCPUを搭載しているものがほとんどですが、2024年からはQualcomm製のCPUを搭載した製品が増えています。



Snapdragonを搭載することで得られる一番大きなメリットは、AIによる処理性能が向上することです。インテルやAMDのCPUよりも高速なAI処理が可能です。

また、MicrosoftのOfficeソフトやTeams、EdgeやChromeなどのインターネットブラウザ、Zoom、Adobe製品などはSnapdragonに最適化されていて、一般的なノートPCよりも高速な動作が可能になります。

一方で、Snapdragonに最適化されていない従来のソフトウェアは、エミュレーターという環境の上で動作するようになります。多くの場合正常に動作することが多いのですが、うまく動作しないということも起こりえますので注意が必要です。

実際に使用する場合、WordやExcel、PowerPointといったソフトを使って資料やレポートを作成したりするのはまったく問題なく使うことができます。

インターネットやメール、ビデオ通話(Teams、Zoom)等も問題ありません。画像やイラスト、動画などを扱うAdobe製品についてもすでに対応済みの製品が出ていたり、近日中に対応する予定になっている製品があるので問題ないでしょう。




他のソフトについてもエミュレーター上で問題なく動く場合が多いですが、使いたいソフトがある場合には、Snapdragon(ARM64)で動くかどうか事前に確認しておいた方が安心です。





ThinkBook 16 AMD版と違う部分


ThinkBook 16にはこのSnapdragon版と、CPUにAMDを搭載したAMD版があります。

ThinkBook 16 Gen 7 AMD版については別記事でレビューを紹介していますので、もしご興味がありましたらそちらもご参照ください(参考記事:ThinkBook 16 Gen 7 AMD版レビュー)。


以下では、ThinkBook Snapdragon版とThinkBook 16 Gen 7 AMD版とで違う部分についてご紹介したいと思います。


OS


ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版はWindows 11 Proのみ、ThinkBook 16 Gen 7AMD版はWindows 11 ProまたはHomeを選ぶことができます。

Windows 11 Proの方が上位バージョンになり、bitlockerなどのより強固なセキュリティ機能を搭載しています。



CPU


CPUについては上述の通りなのですが、Qualcomm製のSnapdragonかAMD製のRyzenかという点が違います。

Snapdragon版だと一部のソフトウェアがエミュレーター上で動くので正常に動作するかどうかを気にしないといけませんが、AMD版であればその心配は不要です。



性能


CPUやグラフィックスの性能について実際にベンチマーク(性能計測)を行ってみました。

その結果は、Snapdragon (ARM64)で動作するソフトに関しては、ThinkBook 16 Gen 7AMD版よりも高速に動作するでしょう。一方で、エミュレータ上で動作するソフトに関しては、ThinkBook 16 Gen 7AMD版の方が速くなります。

AIを使う処理についてはThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版の方が高速になります。

そしてグラフィックスに関しては、ThinkBook 16 Gen 7AMD版の方が性能が良いです。ただ、グラフィックス性能を必要とする人はあまり多くないと思われますので、「グラフィックスって意識したことない」という場合には、グラフィックス性能はあまり気にしなくても大丈夫です。



カラー


カラーはThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版もThinkBook 16 Gen 7AMD版もグレー系の色なのですが、実際に製品を見てみたところ、ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragon版の方が少し濃い目のグレーになっていました。


[ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版]


[ThinkBook 16 Gen 7 AMD版]




ディスプレイ


ディスプレイについては両者ともに16.0型 IPS液晶で、解像度がWUXGA(1920 x 1200)のモデルが揃っています。

違いは色域(表示できる色の範囲)で、Snapdragon版はNTSC 45%となっていますが、AMD版はNTSC 45%またはsRGB 100%となっています。

普通に使う分にはどちらのディスプレイでも特に問題なく使えますが、少しでも色域が広いほうが良い場合には、ThinkBook 16 AMD版を検討してみてください。



インターフェース


ThinkBook 16 AMD版には有線LANポートがあってLANケーブルを挿してインターネットへ接続することができますが、ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版には搭載されていません。




Wi-Fi


ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版はWi-Fi 7対応で、ThinkBook 16 Gen 7AMD版はWi-Fi 6E、またはWi-Fi 6対応となっています。

ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版の方が最新の通信規格に対応しています。



重さ


公式ページによると、ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版は約1.82kg~、ThinkBook 16 Gen 7AMD版は約1.7kg~となっています。

ただ、製品の個体差なのかもしれませんが、実際に計測してみると、あまり変わらないかなという印象です。

[ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版]



[ThinkBook 16 Gen 7 AMD版]





バッテリー駆動時間


ThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版は動画再生時最大約21.8時間、アイドル時約28.4時間、ThinkBook 16 Gen 7AMD版は動画再生時約11.3時間、アイドル時 約21.1時間となっています。

バッテリーの持ちはThinkBook 16 Gen 7 Snaprdragon版の方がよさそうです。






キーボード


16インチのサイズがあるのでゆったりと使えるキーボードです。テンキーも搭載されていて、数字の入力がしやすいです。

パームレスト(手をのせる場所)も余裕があり、手や手首が痛くなることもありません。




キーボードの左半分と右半分を拡大したものになります。キーの配置について、特に気になる点はありません。







キー同士の間隔や打鍵感等、特に問題はありません。入力しやすいと思います。




タッチパッドです。








ディスプレイ


ディスプレイの色域(表示できる色の範囲)はNTSC 45%となっていて、必ずしも
色域が広いというわけではないのですが、色の表示は問題ありません。文字を読んだり、画像や動画を見るのも特に問題はないでしょう。




IPS液晶なので、正面はもちろんのこと、角度を変えて見ても綺麗に表示されます。




解像度はWUXGA(1920 x 1200)となっていて、一般的な仕様です。




ちなみに、ディスプレイの色域を計測するためのソフトウェアであるi1 Display Proを使おうとしたのですが、うまく動作しなかったので今回色域は計測できていません。





ポート類とカメラ、スピーカーなど


ポート類


USBポートが合計4つ(Type-A×2、Type-C×2)、HDMI、SDカードスロットが搭載されています。Snapdragon版のThinkBook 16には有線LANポートはありませんが、普段Wi-Fiでネット接続をするのであれば十分な構成です。









カメラとマイク


カメラは顔認証には対応していませんが、プライバシーシャッターが搭載されています。カメラを使わないときはシャッターを閉じておくと、絶対に映ることがないので安心です。






マイクもこの部分に搭載されています。顔の正面にあるので、声を拾いやすいです。



スピーカー


スピーカーは本体の底面に左右1つずつ搭載されています。音質は良く、動画を見たりビデオ通話で人の声を聞くのも問題ありません。








静音性の確認


実際にパソコンを使って、静かに作業できるかどうか試してみました。

YouTubeを見たり、インターネットをしたりなどの一般的な作業をしているときの動作音は静かでした。

CPUに大きな負荷がかかると動作音は大きくなるのですが、一般的なノートパソコンと同レベルの大きさでした。

問題なく使えると思います。


測定項目   動作音の大きさ
PCの電源OFF時の室内の音量
(できるだけ無音の状態)
28~29db
アイドル状態
(PCを起動し何もしていないとき)
28~29db 
YouTube閲覧時 28~29db
インターネットをしているとき
(タブを10個開いた状態)
28~29db
CPU 100%使用時
(CINEBENCH R23実行時)
37~41db







ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonの仕様と性能


ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonの仕様は以下のようになっています。


 OS Windows 11 Pro
CPU Snapdragon X Plus X1P-42-100 
メモリー 16GB / 32GB 
ストレージ SSD 512GB / 1TB 
無線LAN
有線LAN -
光学ドライブ -
SDカードスロット
 HDMI
USBポート USB3.2 × 2
USB Type-C × 2 
ディスプレイ WUXGA IPS液晶(1920x1200)
光沢なし
NTSC 45%
サイズ 16インチ
 Officeソフト 搭載モデルあり
Office Home and Business 2024
重さ 1.82kg
バッテリー持続時間 動画再生時 約21.8時間
アイドル時 約28.4時間
(JEITA 3.0)


今回のレビューで使用したLenovo ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonの主な仕様は以下の通りです(メーカー貸出機)。

OS: Windows 11 Home
CPU: Snapdragon X Plus X1P-42-100
メモリ: 16GB
ストレージ: SSD 512GB





以下はCPUとストレージの性能、そしてグラフィックスの性能を専用のソフトウェアを用いて測定したものです。専門的な内容になりますので、読み飛ばしてもらって構いません。




CPUの性能


CPUの性能をCINEBENCH 2024とCINEBENCH R23という2つのソフトで計測しました。

CINEBENCH 2024はSnapdragon (ARM64)に最適化されています。754ptsというスコアは他のノートパソコンと比較して高いです。Snapdragon (ARM64)に最適化されているOfficeソフトやZoom、Teams、Adobe製品などは一般的なノートPCよりもより高速に動作するでしょう。

一方、CINEBENCH R23はSnapdragon (ARM64)に最適化されていません。エミュレーター上で動きます。8134ptsというのは他のノートパソコンと同等のスコアです。エミュレーター上で動作するアプリを使っても速度に問題はないでしょう。









データの読み書きの速度


SSDのアクセス速度を測定しました。データの読み込みも書き込みもとても高速に動作します。





グラフィックスの性能


グラフィックスの性能は一般的です。問題なく使えるでしょう。







各ベンチマークテストの評価対象とスコアを表にすると以下のようになります。

ベンチマーク 評価対象 スコア
Fire Strike DirectX 11 3615
Nigh Raid DirectX 12 16415






外観の確認


それでは、ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonの外観を確認してみましょう。

まず、天板です。ルナーグレーというカラーが採用されています。Lunar (月)の色をイメージする色合いです。ThinkBookのロゴとLenovoのロゴがデザインされています。





























底面です。




ACアダプターとケーブルです。




ACアダプターはコンパクトになっていて、手のひらにスッキリと収まる小型サイズです。





本体右側面です。




本体左側面です。




手前側です。





背面部です。







まとめ


最後にLenovo ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonについてまとめたいと思います。

良いところ


・広い画面で快適に作業できる
・Snapdragon (ARM64)に最適化されたアプリの動作が高速
・AIの処理速度が速い
・バッテリー駆動時間が長い

注意するところ


・Snapdragon (ARM64)に最適化されていないアプリが動作するかどうかを事前に確認したほうが良い
・有線LANポートは搭載されていない



ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonを使う場合、多くのアプリケーションは問題なく動作するとは思いますが、Snapdragon (ARM64)に最適化されていないアプリを使う場合には不安があると思います。

MicrosoftのOfficeアプリやZoom、Teams、インターネットブラウザ(EdgeやChromeなど)、Adobe製品などを使うことが中心であれば特に問題なく使えますので、普段どんなソフトウェアを使っているかを考えて選ぶと良いのではないかと思います。

もし、心配だなと思ったら、ThinkBook 16 Gen 7 AMDという兄弟モデルの製品もありますのでそちらを選択すればよいかと思います。



詳細はこちら → ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragon (直販サイト)


詳細はこちら → ThinkBook 16 Gen 7(AMD)(直販サイト)









この記事を書いた人

  石川
ITエンジニア。2014年から2024年現在まで10年間、約450台以上のノートパソコンのレビューを実施。プログラマー兼SEとして、システムやアプリの開発に携わっています。保持資格:応用情報技術者、基本情報技術者、英検準1級等 
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