心理学部でのノートパソコン使用場面や必要スペック


心理学を学ぶ学部や学科に進学してノートパソコンの購入を考える場合、どんなスペックのものを選べばよいか迷うことはないでしょうか?

心理学の専門課程は文学部や人間科学部にあることが多く、文系の学問だからそれほどパソコンを使わないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、実際には心理学は統計学を学ぶことが必須であり、しかも、最先端の計測機器を使って様々なデータを収集してデータ解析を行うなど、理系のような研究を行う場面も多くあります。

そのため、実際に心理学を大学で学んでいく過程で、パソコンを使う場面を知っておくと、ノートPCに必要なスペックが見えてきます。

このページでは心理学部でパソコンを使う事例と必要となるスペック、そしておすすめのノートパソコンをご紹介しています。


[ このページで紹介している内容 ]






心理統計の習得とデータ解析


心理学の専門課程では、ほとんどの大学で「心理統計」や「心理測定」、「データ解析」などの講義や実習があります。

心理学は人の心や性格を理解する学問というイメージがあるとは思いますが、そのためには多くの人々を対象とした調査や実験結果から得られた実証的なデータに基づいて研究が行われていきます。



そのためには科学的なアプローチが必要で、集められたたくさんのデータを分析するためのツールである統計学を身につけることが求められます。心理学は文系の学問と思われがちですが、数学の知識が必要となります。

心理統計では、回帰分析や分散解析、因子分析・共分散構造分析を中心とした多変量解法析や、平均、分散、相関係数といった記述的指標や確率モデルと標本分布の関係、推定と検定などの様々な統計的解析手法を学びます。

統計の手法を学んでいく上で、パソコンを使って実際に手を動かすとよく身につきます。統計で扱う多くのデータを効率的に扱えるだけでなく、表にまとめたりグラフ化したりすることが簡単になり、結果もわかりやすいです。

また、統計学は、大学での講義や演習で使うだけでなく、卒業研究で実際にデータを解析する場合もあります。その際、データをパソコンに入力し統計ソフトを使って解析することになります。







心理統計でよく使われるソフトウェア


心理学で統計学を扱う上でよく使われるソフトウェアがあります。まとめると、以下の表のようになります。

ソフトウェア 動作環境・説明
SPSS Windows / Mac
64bit PCは8GB以上のメモリ推奨
学部生・大学院生向けパッケージあり
SAS Windows / Mac
メモリ2GB以上
仮想環境Virtual Boxが必要
University Editionあり(無償)
R Windows / Mac
R Studioを使う場合、メモリ256MB以上
無料で利用可能


他にもありますが、これらのソフトが有名です。Excelでもできなくはないのですが、これらのソフトを使う方がより高度なこともできますし、得られる結果(グラフなど)が、そのまま論文に使えたりというメリットもあります。また、講義や実習で指定されていたり、大学のゼミや研究室でこれらのソフトを使っていることも多く、必然的に自分のパソコンにもインストールして実際に利用することになる、ということもあります。

これらのソフトを使うにあたって、メモリ256MB以上という低いスペックで動くものもあるのですが、扱うデータが大きくなるともっとメモリ容量が必要になるので、最低でも4GBは欲しいところです。

また、8GB以上のメモリを推奨するものもありますので、統計ソフトを利用するにあたっては、ノートパソコンのメモリは8GBあると安心です。








動物を使った実験・実習でのデータ入力や解析


大学の心理学の専門課程では、マウスやラットなどの動物を使った実験や実習があるところも多いです。



特定の条件下で、これらの動物がどのような行動をとるかをデータとして採取します。たとえば、一定の濃度の化学物質が記憶や学習機能にどのような影響を与えるのかといったことや、光や臭いなどの刺激を与えた場合にどのような行動をとるのかということを動物を使って実験を行います。

得られたデータはパソコンに入力して、グラフや図表としてまとめます。また、実験に用いた手法や実験器具、実験手順などをまとめるために、パソコンで文章を書きまとめることになります。






科学的なデータ測定


心理学の研究は客観的なデータを集めることが重要なのですが、そのために様々な最先端機器を使うことがあります。

たとえば、一定の刺激を加えた時に眼球の運動を測定するための機器や、脳電位や脳波を計測する機器、動物実験での摂食量測定装置や放射状迷路など、様々な機器が用いられます。

これらの機器で計測されるデータを解析したり、まとめたりする際にパソコンが活用されます。






心理学に関する文献の読み込みとまとめ


心理学を学んでいくうえで、関連する専門の文献を読む機会があります。日本語の文献のことも多いですが、海外で発表された英語論文を読むこともあります。

論文を読んでその内容をまとめ、講義やゼミに参加するメンバーの前で発表する、ということが行われることがあります。その場合、文献中のわからない用語はインターネットで調べることになります。調査を行いながら、文献の内容をまとめるために、ブラウザとWord、PowerPointなどを使います。

まとめた内容は紙の資料として印刷してメンバーに配布したり、ノートパソコンを大学に持って行ってモニターやプロジェクターとつなぎ、プレゼンをすることもあります。






レポートの作成と提出


心理学の授業では、発達心理学や教育心理学、感覚知覚心理学、社会心理学など、複数の領域にわたって専門の知識を学んでいきます。また、実際に心理学で行われる実験や実習、フィールドワークなども行われます。

これらの授業を受けた後には、レポートを提出することが多いです。

レポートは手書きの場合もありますが、パソコンを使うことが非常に多いです。講義の内容や感想を数ページ程度でまとめるだけのものもあれば、実験や実習で得られたデータをグラフや図にしてまとめたり、観察した内容を絵として描画したり、実験手法や結果・考察をまとめたりということもあります。。

本文を書くのはMicrosoft OfficeソフトのWord、表をやグラフを作成するのはExcel、図やイラストを作成するのはフリーの画像ソフトを使うなど、いくつかのソフトを同時に使いながらレポートを仕上げていきます。

手書きで描く場合には、いったん紙に描いたものをパソコンに取り込んでデジタル化することもあります。

レポートは作成したものを印刷して提出することもありますし、大学のポータルサイトからパソコンを使ってオンラインで提出することもあります。






講義の履修登録や成績の確認


教養科目や専門科目などの履修登録は、パソコンを使ってオンラインで行う大学がとても多いです。


これを忘れてしまうと単位が取れないばかりでなく、指定された期間内に登録を行わないと履修の意思がないものとみなされて最悪の場合除籍となることもあります。


大学の講義の履修登録のイメージ。必修科目や選択科目等を選択し、履修申請を行う。


そのため、必ず履修登録を行うようにしましょう。履修登録の際は、個人情報を登録することが多いので、共用のパソコンを使うと個人情報が漏れてしまう心配もあります。そのため、履修登録は個人所有のパソコンで行うのが安心です。


また、各講義や実験・実習の成績も、オンラインで確認できるようになっていることが多いです。単位を取り忘れてしまって進級できないという状況にならないよう、定期的に確認しておきたいです。






論文の作成や学会発表の準備


4年生や大学院に進学し、まとまった成果が出ると、論文を書いたり学会で発表する機会があります。

論文はWordでまとめることが多いのですが、画像処理ソフトを使って図を作成したり、専門のソフトでデータを整理したりするなどパソコンを活用します。

また、学会で口頭発表をする場合は、ノートパソコンを学会会場に持ち運び巨大スクリーンに映し出して発表します。

ポスター発表という形式もあり、A0サイズの大判ポスター1枚を貼ったり、A4サイズの紙を何枚も貼るなどして発表します。学会の発表資料を作成するのも、もちろんパソコンを使います。PowerPointを使うことが多く、誰もが見やすい資料を作成することが必要とされます。






心理学部のノートパソコンに必要なスペック


心理学部の場合、上で説明したようにパソコンを使う作業が多くあります。軽めの作業が中心になるかもしれませんが、統計を学んで実際に卒業研究で使うということも多いですので、統計ソフトが快適に動作する性能を持ったノートパソコンを選んでおきたいです。

このため、心理学系の学部や学科でノートパソコンを使用する場合は、以下のようなスペックが好ましいです。


OS: Windows 10 Home、Mac OS X

CPU: Core i5またはRyzen 5以上

メモリ:8GB以上

ストレージ:SSD 256GB以上


OSはWindowsまたはMacで基本的にはどちらでも問題ないことが多いです。

ただ、Windowsパソコンのほうが対応しているソフトウェアも多いですし、利用しているユーザー数も多いです。専門のソフトウェアを使う場合に、Windowsでしか使えないとなると困りますので、わからない場合はWindowsを選択しておくのが無難です。

ノートパソコンに搭載されるCPUは、Core i5またはRyzen 5以上がおすすめです(Core i5 / Core i7、Ryzen 5 / Ryzen 7)。通常はCore i5またはRyzen 5で大丈夫です。性能も良く、価格とのバランスもとれています。

Core i7やRyzen 7にしておけばより高速な処理が可能です。時間がかかる処理をするときには、より短時間で終わります。

最近のノートパソコンは持ち運びにも便利な軽さとサイズのものが多いので、大学と自宅の両方で使いたいというような場合にも便利です。


ライトな処理を行うだけであればメモリは4GBでも良いのですが、専門の統計ソフトを使うことが考えられるので、メモリは8GBあると安心です。

ストレージはSSDを搭載しているノートパソコンが多くなりました。SSDの場合は、256GB以上の容量があると安心です。ハードディスクでも構いませんが、パソコンが遅いと感じてしまうかもしれません。SSDのほうが、サクサクと快適に使えるでしょう。






心理学部の大学生におすすめのノートパソコン


心理学を学ぶ学生におすすめのノートパソコンをご紹介しています。この記事でご紹介した内容をもとに自分に合うノートパソコンを選択してみてください。


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この記事を書いた人

  石川
ITエンジニア。2014年から2024年現在まで10年間、約450台以上のノートパソコンのレビューを実施。プログラマー兼SEとして、システムやアプリの開発に携わっています。保持資格:応用情報技術者、基本情報技術者、英検準1級等 
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