生物系学科でのノートパソコン使用場面や必要スペック


生物系の学科に進学してノートパソコンの購入を考える場合、どんなスペックのものを選べばよいか迷うことはないでしょうか?ノートPCを検討するにあたって、実際に生物系の学科でパソコンを使う場面を知っておくと、必要なスペックが見えてきます。

このページでは生物系の学科でパソコンを使う事例と必要となるスペック、そしておすすめのノートパソコンをご紹介しています。


[ このページで紹介している内容 ]






遺伝子情報の検索やDNAの操作などで活用


生物の研究では、直接DNAや遺伝子を操作して実験を行うことが多くあります。この時にパソコンが活用されます。


遺伝子情報はとても多く複雑なので、パソコンの力を借りるのが効率的です。遺伝子情報はデータベース化されていて、検索することによって効率良く目的の情報を取得することができます。




遺伝子やDNAを操作するにあたっても、パソコンを使うのは当たり前になっています。検索で得られた情報をもとに、DNAのどの部分を切り出したり増やしたりするかなど、実験で必要な操作をパソコンで設計していきます。





実験レポートの作成と提出


生物系の学科では学生実験がとてもよく行われます。2年生や3年生になると、ほぼ毎週実験レポートの提出がある大学も多いです。動物の解剖や生態の観察、顕微鏡を用いた観察など、マクロなレベルからミクロなレベルまで、様々な実験が行われます。




レポートは手書きの場合もありますが、パソコンを使うことが非常に多いです。実験で得られたデータをグラフや図にしてまとめたり、観察した内容を絵として描画したり、実験手法や結果・考察をまとめていきます。


本文を書くのはMicrosoft OfficeソフトのWord、表をやグラフを作成するのはExcel、図やイラストを作成するのはフリーの画像ソフトを使うなど、いくつかのソフトを同時に使いながらレポートを仕上げていきます。


手書きで描く場合には、いったん紙に描いたものをパソコンに取り込んでデジタル化することもあります。


レポートは作成したものを印刷して提出することもありますし、大学のポータルサイトからパソコンを使ってオンラインで提出することもあります。





実験で得られたデータの解析や写真・画像データの利用


4年生に進級すると研究室に所属し、研究室の先輩や研究員の方と一緒になって実験を行います。

生物の分野では様々な研究機器を使います。これらの機器から得られた実験データを解析するために、パソコンを活用します。

高度な解析ソフトは研究室のパソコンにインストールされることが多いのですが、得られた結果を自分のPCに保存して開いたり、編集したりすることがよくあります。

また、生物系の実験では写真や画像データがよく扱われます。たとえば、顕微鏡で観察した場合、細胞の状態や特別な色素で染色した場合の様子を撮影することがあります。


ヒトの細胞を蛍光色素で染色し、顕微鏡で観察した画像。


これらの画像データは、必要に応じて編集・加工が行われます。もちろん、改ざんや捏造にならないようにすることは当然ですが、不要な部分を切り取って大事な部分をレポートや学会発表、論文用のデータとして利用します。


この時に画像ソフトを使いますので、パソコンの使用は必須となります。





講義の履修登録や成績の確認


教養科目や専門科目などの講義や実験の履修登録は、パソコンを使ってオンラインで行う大学がとても多いです。


これを忘れてしまうと単位が取れないばかりでなく、指定された期間内に登録を行わないと履修の意思がないものとみなされて最悪の場合除籍となることもあります。


大学の講義の履修登録のイメージ。必修科目や選択科目等を選択し、履修申請を行う。


そのため、必ず履修登録を行うようにしましょう。履修登録の際は、個人情報を登録することが多いので、共用のパソコンを使うと個人情報が漏れてしまう心配もあります。そのため、履修登録は個人所有のパソコンで行うのが安心です。


また、各講義や実験・実習の成績も、オンラインで確認できるようになっていることが多いです。単位を取り忘れてしまって進級できないという状況にならないよう、定期的に確認しておきたいです。






論文を検索したり読んだりする


4年生に進級したり、大学院に入ると論文を読む機会が増えます。日本語で書かれた論文もありますが、ほとんどは英語になります。

英語の専門用語が頻出しますので、意味を調べながら読むことになります。わからない用語が出てきても、ネットだとすぐに調べることができるので、論文を読むスピードが速くなります。辞書的なツールとしても、パソコンは必須です。

論文は大学の図書館や学部の図書室にもありますが、多くの場合はインターネット上の論文サイトで検索を行い、興味のあるものをパソコン上で読むというスタイルになります。

生物系の場合は、米国のPubmedという論文サイトを利用することが非常に多いです。世界中の論文データが集まっていて、ここで検索して興味のある論文が見つかったら、論文をダウンロードして読み進めます。


生物系の論文サイトとして有名なPubmed。


自分の研究を進めるためのヒントを得たり、研究分野の情報収集に活用します。


また、研究に関連する分野の論文をいくつか集めて、研究室内のスタッフで論文の輪読会を定期的に行っている研究室も多いです。関連する論文の画像やテキストをパソコン上で編集して、みんなに分かりやすいように資料としてまとめ、輪読会でプレゼン発表します。






研究室のデータミーティング資料の作成


4年生に進級したり、大学院に入学し、研究室に所属するようになると、本格的な研究生活が始まります。日々実験を行いながらも、数週間に1回程度、定期的に研究室のスタッフ全員が集まってデータミーティングを行います。




データミーティングでは、各メンバーの研究の進捗状況を確認したり、実験で得られたデータを発表します。

実験に用いた手法や得られた結果をWordやPowerPointにまとめて資料を作り、プレゼンを行います。パソコンを使って発表することもありますし、紙の資料を配るだけのこともありますが、資料の作成にはパソコンを活用します。




論文の作成や学会発表の準備


4年生や大学院に進学し、まとまった成果が出ると、論文を書いたり学会で発表する機会があります。


論文はWordでまとめることが多いのですが、画像処理ソフトを使って図を作成したり、専門のソフトでデータを整理したりするなどパソコンを活用します。


また、学会で口頭発表をする場合は、ノートパソコンを学会会場に持ち運び巨大スクリーンに映し出して発表します。


学会発表のイメージ。


ポスター発表という形式もあり、A0サイズの大判ポスター1枚を貼ったり、A4サイズの紙を何枚も貼るなどして発表します。学会の発表資料を作成するのも、もちろんパソコンを使います。PowerPointを使うことが多く、誰もが見やすい資料を作成することが必要とされます。






生物系学科のノートパソコンに必要なスペック


生物系の学科の場合、上で説明したようにパソコンを使う作業が多くあります。軽めの作業から負荷がかかる作業まで様々ありますが、気を付けておきたいのはこれらの作業を単独で行う場合もあれば、同時並行に進める場合もあるということです。


たとえば、研究室でのデータミーティングでの資料を作成する場合には、Wordで資料の本文を書きながらExcelでグラフを作成し、さらにインターネットを開いて論文を読んだり、実験で得られた画像データを編集する、ということを同時に行ったりします。


複数の処理が同時並行で進むことにより、全体的にパソコンに負荷がかかりやすくなります。特に画像を編集するような作業は、他の処理に比べて負荷がかかりやすい傾向にあります。生物系の実験で得られる画像は高精細で容量が大きくなる傾向にありますので、非力なパソコンだとデータを読み込むのに時間がかかる場合があります。


大規模データを扱ったり、プログラミングで複雑な計算処理を実行するような場合には、ハイスペックなCPUや大容量メモリを搭載したほうが良い場合もあります。


このため、生物系の学科でノートパソコンを使用する場合は、以下のようなスペックが好ましいです。


OS: Windows 10 Home、Mac OS X

CPU: Core i5 / Core i7
    Ryzen 5 / Ryzen 7

メモリ:8GB以上

ストレージ:SSD 256GB以上


OSはWindowsまたはMacで基本的にはどちらでも問題ないことが多いです。生物系ではMacを利用している人もよく見かけます。


ただ、Windowsパソコンのほうが対応しているソフトウェアも多いですし、利用しているユーザー数も多いです。専門のソフトウェアを使う場合に、Windowsでしか使えないとなると困りますので、わからない場合はWindowsを選択しておくのが無難です。


ノートパソコンに搭載されるCPUは、Core i5-1135G7やCore i5-10210Uなど末尾に「G」や「U」がつくものが一般的です。これらのCPUを搭載したノートパソコンを購入するのであれば、Core i5またはCore i7を選択するのが良いです。Core i5よりもCore i7の方が性能は高いです。また、Ryzenを選択する場合は、Ryzen 5 4500UやRyzen 7 4700Uで問題ありません。

Core i5やRyzen 5でも十分に性能が高いので、まずはこれを基準にすれば大丈夫でしょう。Core i7やRyzen 7にしておけばより高速な処理が可能です。時間がかかる処理をするときには、より短時間で終わります。UシリーズのCPUを搭載したノートパソコンは持ち運びにも便利な軽さとサイズのものが多いので、大学と自宅の両方で使いたいというような場合にも便利です。


一方で、Core i7-10750Hなど末尾に「H」がつくCPUもあります。HシリーズのCPUはデスクトップPC並みの性能を持っていて高速な処理速度があります。もし、化学計算処理を自分のPCで行うというような場合には、HシリーズのCPUを搭載したノートパソコンを選択するのも良いでしょう。

中には専用のグラフィックボード(GPU)を搭載していて、GPUで計算を実行できるものもあります。バイオインフォマティクスなどのように、自分のPCでプログラムを実行したり、複雑な計算処理を実行したい場合には選択してみても良いでしょう。


ただし、HシリーズのCPUを搭載したノートPCは、15.6インチ以上のサイズになります。重さも2kg以上のものが多いので、自宅に据え置いて使うのが良いでしょう。


一般的に、生物系の研究室ではGシリーズやUシリーズのCPUを搭載したノートパソコンで十分な場合が多いです。高度な計算処理をする以外は、デスクトップPC並みの性能を持ったパソコンを選択する必要はありません。


メモリは最低でも8GBは欲しいです。メモリ容量が4GBでは複数の処理を同時に実行したときにパソコンの動作が遅くなることがありますし、また専門ソフトを実行した場合にエラーとなることもありますし、画像を読み込めないことも起こりえます。メモリは大いに越したことはありません。


ストレージはSSDを搭載しているノートパソコンが多くなりました。SSDの場合は、256GB以上の容量があると安心です。ハードディスクでも構いませんが、パソコンが遅いと感じてしまうかもしれません。SSDのほうが、サクサクと快適に使えるでしょう。






生物系学科の大学生におすすめのノートパソコン


生物系学科の学生におすすめのノートパソコンをご紹介しています。この記事でご紹介した内容をもとに自分に合うノートパソコンを選択してみてください。


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この記事を書いた人

  石川
ITエンジニア。2014年から2024年現在まで10年間、約450台以上のノートパソコンのレビューを実施。プログラマー兼SEとして、システムやアプリの開発に携わっています。保持資格:応用情報技術者、基本情報技術者、英検準1級等 
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